結論を先に置きます
『当日30万円支給』——そんな言葉とともに広告から届く寄付型クラファン(案内文では『支援型クラファン』とも呼ばれます)に、実際に登録してみました。
結論を先に3つ置きます。
(1) 「累計35億円を集めた独自プラットフォーム」という実績表示に、裏付けとなる資料は見当たりません。
(2) 支援総額が画面上で304万円まで増えた後、受け取る前に2万円をApple Gift Cardで支払うよう求められます。この流れは消費者庁が注意喚起する支援金詐欺のパターンと一致します。
(3) 「受給した寄付金は非課税」という説明も、一律に正しいとは言えません。国税庁は、個人が贈与により財産を取得した場合は贈与税の対象になり得るとしています。
すでに登録した方・2万円を求められている方に向けて、順番に整理します。
結論だけ先に言うと、私は2万円を払いません。
受け取るためのお金を払わせる時点で、判断はもう終わっています。
注意
Apple Gift Cardでの支払いを求められたら、それ以上進まないでください
受取手続き費用として、Apple Gift Cardでの支払いを指定されるのが、この案件の本丸です。
Apple公式は、
「誰かがAppleギフトカードを使ってAppleが販売していないものを購入するように要求してきた場合、詐欺の可能性があります」
と説明しています。
ギフトカードの番号を伝える前に、手を止めてください。
まずは3つに分けて見る
表は左右にスクロールできます
| 切り口 | LP側の見せ方 | 確認できる事実・公的見解 |
|---|
| ① 実績・訴求 | 「当日30万円支給」「累計35億円を集めた独自プラットフォーム」「一人当たり平均50万円以上の寄付」と表示 | 運営法人名や第三者機関による裏付けは確認できず、画面上の表示にとどまる |
| ② 受取までの導線 | メール登録→本人確認→支援リクエスト掲載(3日間)→受取手続き費用2万円をApple Gift Cardで請求 | 受取前の先払い要求とギフトカード指定は、Apple・消費者庁が注意喚起する詐欺の危険信号と一致 |
| ③ 運営情報・税務表示 | 「掲載無料・手数料なし」「受給した寄付金は非課税」と説明 | 運営法人名・所在地・代表者・返金条件の記載は見当たらず、非課税の説明も国税庁の贈与税の考え方と整合しない |
先に書いておくと、この『寄付型クラファン』について、逮捕や行政処分などの公的記録は、編集部が確認した範囲では見つかっていません。
運営法人名も、案内メールの窓口名以上の情報は確認できていません。
だからこそこの記事では、Apple・消費者庁・国税庁の公的な一次情報だけを土台に、確認できる事実とできない事実を分けて整理していきます。
実績、受取導線、運営表記に分けると、怪しさの正体が見えてきます。
私は、②の受取前2万円請求が一番シンプルな判断材料だと思っています。
ここまでで、3つに分けて見る土台を確認しました。
すでに支援リクエストを掲載した方、2万円を求められている方もいると思います。
気になる場合は、LINEで気軽に聞いてください。

投資詐欺検証ラボLINE相談窓口
(1) 「累計35億円」という実績訴求を確認する
検証対象のLPが掲げる実績訴求(画像:検証対象のLPより)。LPを開くと、
「資金調達に特化したサービス」
「累計35億円を集めた独自プラットフォーム」
「一人当たり平均50万円以上の寄付」
という実績が並びます。
運営が公開しているのは、この画面上の数字だけです。
35億円という累計額や、50万円という平均額を第三者機関が確認した記録は見当たりません。
編集部が確認した範囲では、決算・監査資料のような裏付け開示はありません。
『累計35億円』と言われると、それだけで信頼できそうに見えます。
でも、この数字の裏付けがどこにあるのか、私にはまだ分かりません。
申込みから即日30万円支給までを3ステップで示すLPの案内(画像:検証対象のLPより)。LPが示す入口はシンプルです。
本ページから申込み → スマホで簡単に資金調達開始 → まずは運営から即日30万円支給、
という3ステップが案内されています。
実際に私が進めたのは、
メールアドレス登録 → 本人確認 → 支援リクエスト作成 → 3日間の掲載、
という手順でした。
掲載3日目には、画面上で支援総額304万円・サポーター40名と表示されました。
しかし、この304万円が実在する第三者からの送金だと確認できる資料はありません。
銀行の入出金明細やPayPayの受取履歴は、この時点では一切示されていません。
画面の数字が増えるほど、期待したくなる気持ちは分かります。
ただ私は、サービス内の表示と、銀行や決済サービスに実際に着金した記録は別物として見ます。
(2) 受取前の2万円請求——Apple Gift Card指定という危険信号
支援リクエストの掲載が終わると、受取先の選択画面が表示されます。
銀行振込・PayPay・現金書留の3つが並びますが、
その先に進むと、受取対象金額378万5,000円、受取手続き費用2万円という表示が出ます。
そして2万円の支払い方法として指定されるのが、Apple Gift Cardです。
クレジットカードや銀行振込ではなく、コンビニ等で購入できるギフトカードのコードを伝える方式が指定されている点は、見過ごせません。
“引用
『支援金を受け取るにはまず〇〇円を支払ってください』は典型的な詐欺の手口です。
出典消費者庁「支援団体等の名称をかたり、いわゆる支援金の給付を持ち掛けて架空の料金請求を行う事業者に関する注意喚起」(令和7年9月11日)
消費者庁は令和7年9月、公的な団体名をかたって『80億円の支援金を給付する』とメール・SMSで通知し、受け取りに手数料や電子マネーの購入を求める手口を、消費者安全法に基づき正式に公表しています。
そこで示された流れは、
『支援金の給付を告知→受取手続き画面で手数料を請求→電子マネー等の購入を指示→支払後も追加請求→結局給付されない』
というもので、今回の『寄付型クラファン』の流れと骨格が重なります。
なお、この注意喚起は今回の『寄付型クラファン』を名指ししたものではありません(対象は別の事業者・別事案です)。
受け取るはずのお金のために、先に2万円を、しかもギフトカードで払う。
私なら、ここで手を止めます。
支払い手段そのものにも、公的な注意喚起があります。
国民生活センターは、コンビニ等で電子マネーカードを購入させ、番号を伝えさせる手口を「全て詐欺」と位置づけています。
このケースは架空の未納料金請求への注意喚起で、今回のような受取金請求とは入口が異なりますが、電子マネー・ギフトカードの番号を伝えさせるという支払い手段自体の危険性は、そのまま当てはまります。
注意
2万円の契約上の根拠は、この記事の時点で確認できていません
2万円の内訳、契約相手の正式な法人名、返金・キャンセル条件、受け取れなかった場合の扱い——これらはLPからも案内メールからも確認できませんでした。
契約相手・費用の内訳・返金条件が書面で示されるまで、支払わないでください。
受取前の2万円請求と、その支払い方法を確認しました。
すでにApple Gift Cardの購入を求められている方は、それ以上進む前に、一度LINEで確認してください。

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(3) 「無料」「非課税」の表示と、消えた運営情報
掲載・募集は無料とするLPのFAQ(画像:検証対象のLPより)。LPのFAQには、
「寄付を募集するのにお金は必要ですか?」→「いいえ。手数料などが発生することなく、募集していただくことが可能でございます」
とあります。
「無料」は、あくまで支援リクエストを掲載する段階の話です。
登録後に示された2万円の受取手続き費用とは、別の段階の説明だと整理する必要があります。
受給した寄付金は非課税と説明するLPのFAQ(画像:検証対象のLPより)。税金についても、
「税金はかかりますか?」→「いいえ。当サービスで受給された寄付金は、非課税対象となりますので、あとから税金を納める必要はございません」
と説明されています。
しかし国税庁は、個人が贈与により財産を取得した場合は贈与税の対象になり得ると説明しています。
暦年課税では、1年間に贈与を受けた財産の合計額が基礎控除110万円を超えると、原則として申告が必要です。
『非課税』という一文だけで、自分にも税金がかからないと判断することはできません。
『非課税』と書かれると、それだけで安心しそうになります。
でも、誰から、どんな目的で受け取るお金なのかによって、扱いは変わります。
運営法人については、案内メールに窓口名の表示はあるものの、
正式な法人名・代表者・所在地・電話番号は確認できません。
利用規約や個人情報の取扱い、返金・解約条件も、LPからは確認できませんでした。
窓口の名前だけでは、契約相手を特定できません。
私なら、正式な法人名と料金表を書面で示してもらえるまで、次には進みません。
巻き込まれないためのチェックリスト
- 「当日◯万円支給」「審査不要」という広告は、その時点でまず疑う
- 画面上の支援総額・サポーター数は、銀行や決済サービスの実際の着金記録と必ず区別する
- 受け取りに「手続き費用」名目で先払いを求められたら、支払わない
- 支払い方法が「コンビニでギフトカードを買って番号を教えて」なら、詐欺の典型的な手口として扱う
- 「無料」「非課税」の表示は、どの段階・誰向けの説明なのか自分で確かめる
- 運営法人名・所在地・電話番号の記載がないか、自分の目で確認する
- すでにギフトカードを購入しコードを未送信なら、コードを伝えずカードとレシートを保管する
急かされるほど、私は立ち止まります。
受取前にギフトカードを求められた時点で、私はそれ以上進みません。
チェックリストに当てはまる項目があった方も、まだ間に合います。
ギフトカードを買う前に、LINEで一度確かめてください。

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まとめ|「受け取りに払わせる」なら、疑ってください
| 切り口 | 結論 |
|---|
| ① 実績・訴求 | 「累計35億円」「当日30万円支給」といった実績表示に、裏付ける資料は見当たらない |
| ② 受取までの導線 | 受取前に2万円をApple Gift Cardで請求する流れは、消費者庁公表の支援金詐欺と手口が重なる |
| ③ 運営情報・税務表示 | 正式な法人名・所在地・電話番号の記載が見当たらず、『非課税』の説明も国税庁の考え方と一律には整合しない |
『寄付型クラファン』は、支援総額の表示で期待を持たせたうえで、受け取る前にギフトカードでの支払いへ誘導する構造の案件です。
すでに2万円を求められている方も、これ以上お金を払わないことがいちばん大切です。
やり取りの記録(スクリーンショット)は消さずに残しておいてください。
詐欺だと断定はしません。
ただ、受け取るお金のために先にギフトカードで払えと言われたら、私は払いません。
確認ポイント
不安なときは、お金を払う前に公的窓口へ
『支援リクエストを掲載してしまった』『Apple Gift Cardの購入を求められている』——そんなときは、お金を使う前に相談してください。
・[消費者ホットライン 188(いやや)](https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/hotline/):最寄りの消費生活センターにつながります
・警察相談専用電話 #9110:詐欺被害・トラブルの相談窓口
一人で判断せず、ギフトカードの番号を伝える前に、必ず誰かに確認することが被害を防ぐ最大のポイントです。